消えゆくダイナー、生き残りは? 最盛期300店が80店に

 米国人の「原風景」の1つ、ダイナー。近年、ニューヨーク市内で消えつつある。最低賃金の上昇など経費がかさむ中、不動産開発業者から買収の「誘惑」もあり、減少は必然との見方もある。存亡の危機に瀕するダイナーの経営者の姿をニューヨークタイムズが24日、レポートした。
 商業不動産ブローカー、アリエル・プロパティー・アドバイザーズの調べによると2014年以来、市内でダイナー15店が閉店。ネオンサインなどで飾られた伝統的様式のダイナーは最盛期には300店を数えたが、現在ではおよそ80店ほどだ。
 1976年に開業したマンハッタン区マレーヒルの「フロンティアダイナー」は2010年、火災で焼失。当時店主だったエリアス・コゲミトロスさんは銀行に融資を断られ再建を断念。代わりにアパートビルを建設した。ビルには「フロンティア」と名付けた。
 生き残りをかけて奮闘中の店もある。ブロンクス区スロッグスネックの「クロスタウンダイナー」は1982年の創業。2代目店主のビル・ツィビスさんは初代の反対を押し切って配達を開始。売り上げの40%を占めるほどの「柱」となった。さらにギリシャ料理一辺倒からプエルトリコ風豚の蒸し焼きを加えるなどメニューを工夫。すしの提供も考えているという。「変わらねば朽ちるだけ」と、SNSを使ったプロモーションにも力を注いでいる。

クロスタウンダイナー。インスタグラ(@crosstowndiner)より