マンハッタン区で2015年、70歳の父親を撃ち殺したとして殺人罪で起訴されたトーマス・ギルバート・ジュニア被告(34)の陪審裁判が同区で行われている。父親はヘッジファンドを創業したウォール街の成功者で、被告自身はプリンストン大学の卒業生という「エリート」家庭で起きた惨事。今月28日、911番通報をした母親が出廷し「息子は頭がおかしい」と証言した。ニューヨークタイムズが同日、報じた。
事件を巡っては、検察側が殺害の動機について「週1000ドルの小遣いを減らされたことに腹を立てたから」と主張しており、発生当時から話題を呼んでいた。この日は、911番通報の音声を公開。母親は「(犯人は)息子。頭がおかしいのよ。でもここまでとは思わなかった。夫の頭を銃で撃ち抜いたの」と冷静に説明していた。
検察側は「被告はこれといった職に就いていなかった」と指摘。「親の支援でチェルシーのアパートに住み、高価な食事やハワイでの休暇を楽しんでいた」と親に甘えた「パラサイト」人生を暴露した。被告がフェイスブックを通して銃を購入し、オハイオ州まで取りに行った経緯を説明し、「犯行は計画的で冷酷だった」と主張した。
一方で、弁護側は被告に不安神経症、パラノイア、うつ病など10年の病歴があったことを指摘。投薬により被告は事件当時心神喪失の状態にあり、刑事責任は問えないとして無罪を訴えた。