無縁仏100万人が眠る島、開放を ハート島を公園にする案が審議

 ブロンクス区の沖合にある小さな島、ハート島は長年、引き取り手のない無縁仏や貧困層の共同墓地として使われてきた。訪問は家族などに限られ、ニューヨーク市矯正局の許可が必要と、気軽には行けない場所だ。ここを市公園局の管轄する公園にする案が、市議会で審議されている。5月30日には公聴会が行われた。各メディアが報じた。
 ハート島はセントラルパークから約19キロ北東、ロングアイランド湾の入り口に位置する、約100エーカー(約40万平方メートル)にわたり続く緑地。19世紀から共同墓地として使われ、約100万人が眠るといわれる。管理に当たる矯正局は、墓地を荒らされるなどの危険性があるとして、立ち入りは原則禁止としていた。
 一方で、ハート島の管理を即座に公園局に移管させ、アクセスを改善する条例案は長年にわたり提案されてきた。ただ、今回はコリー・ジョンソン市議会議長が支持を表明。5月30日の公聴会にも出席し、ハート島にエイズにより死亡した人が最も多く眠ることを指摘。ジョンソン氏は自身がHIV陽性であることを公言している。この日、開放に向けた具体的な予定を提示するに至らなかった公園局の担当に対し、「市民を待たせ過ぎている」と、30日以内に暫定案を提出するよう命じた。
 地元紙amニューヨークによると、同島の埋葬者を記録する「ハート島プロジェクト」の創始者、メリンダ・ハントさんは「開放することで埋葬者は汚名を返上し、家族や友人は心の整理をすることができる」と早期の開放を訴えている。