全米の複数の州で売春を合法化する動きがある。ニューヨーク州でも今年初め、民主党州議らが包括的な法案を提出する意向を表明。違法な人身売買を減らし、売春婦を保護するとしているが、反対派の意見も根強いようだ。
売春はネバダ州で48年前に合法化。メイン州やマサチューセッツ州では同様の法案が既に提出されている。ニューヨーク州でも合法化の機運は浸透。売春婦の他、売春あっせん人の罪を軽くする法案の提出に向け動いている。
しかし、反対派は「合法化は人身売買を助長する」と主張。性行為目的の人身売買に反対する非営利団体、ナショナル・センター・オン・セクシャル・エクスプロイテーションは先月23日、人身売買の被害者の声を集めた動画をフェイスブック上で公開。売春が合法化されているネバダ州の実情を訴えている。
ニューヨークポストは今月2日、この動画内で証言するレベッカ・チャールストンさん(37)のインタビュー記事を掲載。チャールストンさんは14歳でレイプされ薬物中毒になり、17歳で家出。その後約10年間、全米のストリップクラブや売春宿をたらい回しにされたという。ネバダ州で売春婦は「非人道的扱いを受けており、心身の問題から麻薬を常用している人が多い」と訴えた。同州の違法な売春行為は他州に比べ63%多く、未成年者の人身売買の数も全米トップ10に入るという。
売春に反対する活動家団体、アウェイクンの共同創始者、メリッサ・ホーランドさんは同紙に「合法化すると売春の需要が増えるため、人身売買を勢いづかせるのでは」と警告している。