ニューヨーク市のエリート8校「スペシャライズド高校」で近年、アフリカ系とヒスパニック系の生徒が激減し、アジア系の生徒が6割以上を占め圧倒している。ニューヨークタイムズは3日、こうした人種の偏りを生む大きな原因は予備校の普及とする調査記事を掲載した。教育熱心で予備校に通うだけの経済的余裕がある家庭の子どもがエリート教育を受けられるという構図が改めて浮き彫りになった。
同紙は現在、予備校に通うことがスペシャライズド高校入学のための「前提条件」になったと伝える。同紙の調査によると2007年からの10年間で市内の予備校の数は倍増し、17年には436校となった。行政区別では、最も多いのはマンハッタン区で158校。ブルックリン区(133校)、クイーンズ区(115校)と続き、アフリカ系やヒスパニック系が最も多く住むブロンクス区は最少でわずか13校だった。
予備校大手のカプランでは、スペシャライズド高校受験対策コースが8回で1000ドル(約11万円)。これは最も基本的なコースで、夏季集中講習などは別料金だ。一方で、アフリカ系やヒスパニック系が多く通う学校では、上級学習プログラムが廃止されていったという。
ビル・デブラシオ市長は人種偏向の解消のため、スペシャライズド高校入学統一試験(SHSAT)を廃止し、市内の全公立中学のトップ3%に入る生徒を自動的に入学させる入試改革案「ディスカバリー」を提案している。