第2次世界大戦で連合軍がフランスのノルマンディー海岸に上陸した「史上最大の作戦」から75年。作戦開始の6月6日は「Dデー」と呼ばれる。そのDデー体験者の証言をニューヨークポストが5日、報じた。
ブルックリン区出身で、現在はクイーンズ区の退役軍人施設で暮らすジョセフ・ディトンノさん(94)は19歳のとき作戦に参加。乗船した戦車揚陸艦は1944年6月5日、英仏海峡を進んでいたが、荒波に阻まれいったんは引き返した。翌日も波は高かったが連合軍は作戦を決行。戦車揚陸艦をえい航する6艘の上陸用舟艇には1艇当たり約30人の兵士が乗り込んでいたが、「生きて帰った者は1人もいなかった」という。ディトンノさんは当初、同艇に乗船する予定だったが、同郷の下士官に炊事係に回されたため、九死に一生を得た。
連合国の軍艦テキサス号は血に染まるオマハビーチに乗り上げて停泊。ディトンノさんはそこで前線の「地獄図」を目の当たりに。「ドイツ軍はコンクリート製の塹壕(ざんごう)から砲撃を浴びせてきた。塹壕は強固で、テキサス号が12インチ砲で攻撃してもびくともしなかった」と述懐する。
ディトンノさんその後、ジョージ・パットン将軍の戦車部隊をピストン輸送する任務に就き、大戦終結とともに退役した。