元検事補への批判巻き起こる ボイコット、他ケース再捜査呼び掛けも

 (1面から続く)ドラマ「When They See Us」では、事件を担当した当時の検事補、リンダ・フェアスタインさん(72)がえん罪を助長したように描かれている。当時、フェアスタインさんはマンハッタン地区検事局の性犯罪捜査班トップ。劇中では物的証拠がない中で5人を起訴することに疑問を唱えるエリザベス・レダラー検事に対し、5人が有罪になるようにストーリーを組み立て、真犯人を示唆する証拠を出し惜しみするようなシーンもある。事件後、フェアスタインさんは作家として数々の犯罪小説を出版し、複数の団体で役員にも就任した。しかし、ドラマ放映開始後は批判の的だ。
 オンライン上では「フェアスタインを告発せよ」などと題し、署名を募るページが相次いで立ち上がった。これまでに数万人が署名。SNS上でも「#CancelLindaFairstein(リンダ・フェアスタインを辞めさせろ)」との運動が広がり、著書のボイコットなどを呼び掛け。本人のツイッターにも批判が殺到し、アカウントは閉鎖に追い込まれた。役員を務めていた大学理事や犯罪被害者支援団体などへは除名を申し出たという。
 ドラマをきっかけに巻き起こった批判から、ニューヨーク市のジャマネイ・ウィリアムズ市政監督官は5日、フェアスタインさんとレダラー検事の2人が担当した他の事件についても再捜査すべきだと訴えた。「5人は無実の罪で青春を失った」と述べ、同様に自白を強要されたえん罪被害者がいる可能性を示唆した。レダラー検事は現在もマンハッタン地区検事局に勤務している。