老舗レストラン、60年の歴史に幕 業界の変革に追いつけず

 マンハッタン区ミッドタウンの老舗レストラン「ザ・フォーシーズンズ」が11日のランチを最後に、約60年の歴史に幕を閉じる。1959年にパーク街52丁目のシーグラムビルにオープンした際にはモダンな内装と料理でニューヨーク市のレストラン業界に大きな変革をもたらした。仕事の打ち合わせをしながら食べる「パワーランチ」で知られ、2016年に現在のパーク街49丁目に移転したばかりだった。
 同店の業務執行パートナー、アレックス・ボン・ビダー氏はニューヨークタイムズの取材に「新店は店舗もスタッフも素晴らしかったが、レストラン業界は変わってしまった。満足できる成果を上げられなかったため、投資家が閉店を決めた」と述べた。初期の店舗は著名建築家のルードウィック・マイルス・バン・ダー・ローエ氏とフィリップ・ジョンソン氏が設計し、1989年に歴史的建造物に指定されていた。
 同紙によるとシーグラムビルでの賃貸契約が2016年に満了した後、投資家グループから3000万ドル(約33億円)の資金を受け、ビダー氏と当時の共同パートナー、ジュリアン・ニコリーニ氏が新店舗をオープン。しかしニコリーニ氏は昨年12月半ば、性犯罪の疑いがもたれ辞任に追い込まれた。
 同紙のレストラン批評家は昨年12月、同店を2つ星から1つ星に格下げしていた。

ザ・フォーシーズンズ(photo: 本紙)