マンハッタン区7番街51、52丁目の高層ビル屋上にヘリコプターが衝突した事故で、死亡した操縦士は衝突前、どこを飛んでいるのか分からず飛行していたことが分かった。ニューヨークタイムズなどが報じた。
報道によると、死亡した操縦士はダッチェス郡のティモシー・マコーマックさん(58)。10日午後1時32分、同区東34丁目のヘリポートから離陸。ニュージャージー州ユニオン郡のリンデンに向かった。しかしその5分後、マコーマックさんはヘリポートに「道が分からない」と告げ、引き返そうとした。その後「今どこにいるのか分からない」と報告していたという。事故当時、激しい雨と濃い霧で3マイル(約4.8キロ)先は見えない状況だった。連邦航空局(FAA)によるとマコーマックさんは悪天候で飛行する免許を持っていなかったという。
ヘリが衝突したのは7番街787番地のAXAエクイタブルセンタービル屋上。ここにヘリポートはない。ニューヨーク市消防局(FDNY)によると衝撃でヘリは大破。国家運輸安全委員会(NTSB)はマコーマックさんが道に迷った経緯を調べている。
同紙によるとマコーマックさんは操縦インストラクターの資格や商業用ヘリ飛行免許も持つベテラン操縦士。長年にわたりニューヨーク上空の飛行経験があり、事故もめったに起こさなかった。この日の午前にも、ニューヨーク州北部からヘリで通勤するダニエル・ボディニさんを同区東34丁目のヘリポートに降ろした。その後約2時間、天候が落ち着くのを待っていたという。