「反乱」から50年で謝罪、その思いは NYPD本部長「差別的かつ抑圧的だった」

 ニューヨーク市警察(NYPD)のジェームズ・オニール本部長は6日、50年前にマンハッタン区グリニッジビレッジのゲイバーで起きた事件での警察の対応について、警察として初めて謝罪した。その思いをニューヨークタイムズが10日、報じた。
 事件は1969年6月28日、クリストファー通りのゲイバー「ストーンウォール・イン」に警察が踏み込んだ際、居合わせた同性愛者の客らが警官に抵抗し暴徒化した事件。当時、同性婚はおろか同性間での性交渉や女装も法律で禁じられており、事件は規制に対する同姓愛者による初めての抵抗となった。周辺で数日にわたり抗議デモが続き、「ストーンウォールの反乱」として同性愛者らの権利獲得運動の発端となった。
 同姓愛者の権利が認められ、同性婚も法的に認められるようになっても、事件を巡る謝罪はなかった。警察による謝罪は訴訟をあおり、警察内部での関係悪化につながる可能性もあるため、極めてまれだという。ウィリアム・ブラットン前本部長は2016年「不必要」として謝罪を拒否。オニール氏も翌年、謝罪を拒んでいた。
 NYPDは先週、謝罪の要求を受け「現在のNYPDは、50年前のものとは大きく異なる」との声明を発表していたが、謝罪には至らなかった。
 しかし6日、NYPD本部で行われたLGBTQのための集会で、オニール氏は声明について「不十分だった」とし、「(事件当時の警察による)対応と法律は差別的かつ抑圧的だった。これを謝罪する」「NYPDとして市として、前に進むためには、過去の誤りを認めなければならない」と述べた。反乱から50年の節目となる今年のプライド月間に実行しようと決意、ただし謝罪することは誰にも明かしていなかったという。

オニール本部長。本人のツイッター(@NYPDONeill)より

2016年、フロリダ州のゲイバーで起きた銃乱射事件の直後、追悼のロウソクや花束で埋まったストーンウォール・イン(photo: Asami Kato / 本紙)