ニューヨーク州議会は19日、同性愛者などの性的少数派(LGBTQ)への暴力犯罪の裁判で、「ゲイパニック」および「トランスジェンダーパニック」の抗弁を禁止する法案を可決した。アンドリュー・クオモ知事は同法案の可決を最優先課題の1つに挙げており、署名は確実。
同抗弁は、LGBTQに対する暴行や殺人を弁護するため1960年代初めから使用されてきた法的戦術。弁護側が、「被告は事件当時、同性愛などに対する嫌悪感から逆上し、一時的な心神喪失にあった」と主張し、刑の軽減を求めるというもの。
同抗弁は1998年、ワイオミング州で同性愛の大学生、マシュー・シェパードさん=当時21=を殺害した男2人の弁護で使用され、全米で注目を浴びた。同裁判で判事は同抗弁を退け、2人には終身刑が言い渡された。ニューヨーク州でも2013年、トランスジェンダーの女性を撲殺した男が、「口説いていた女が男だと分かり平常心を失った」と抗弁。ニューヨークタイムズによると、男は後に罪を認め12年の禁固刑が言い渡されたが、被害者の遺族は、同抗弁を用いていなければ刑はもっと重くなっていたはずだと糾弾していた。
米弁護士協会は同年、同抗弁の使用禁止を連邦政府に要請。カリフォルニア州は14年、全米で最初に同抗弁を禁止。17年イリノイ州、18年ロードアイランド州と続き、ニューヨーク州は全米で7番目の州となる。今年に入ってからはネバダ、ハワイ、コネティカット州が同抗弁を禁止する法案を可決している。