ニューヨーク州議会は19日、職場でセクハラ被害を訴えやすくする法案を可決した。被害の証明基準を緩和する他、被害報告後の従業員への保護を強化する。「#MeToo(私も)」運動を期に高まった女性の権利保護を求める声が、ようやく形になった格好だ。クオモ知事が近く署名し、成立する見込み。
州ではこれまで、職場での不適切な発言や体を触るなどの性的な嫌がらせを受けても、被害が「深刻またはまん延している」ことを証明する必要があった。そのため多くの場合で訴えが証拠不十分により棄却されていた。同法案ではこの証明基準を取り払う。
同法案はまた、被害を訴える従業員に対し、水面下で口止め料を支払うなどの合意を持ち掛けることを禁止。州へのセクハラ報告期限を3年まで延長する他、 裁判での弁護士費用の負担や損害賠償についても定める。さらに従業員に対して反セクハラ研修を複数の言語で実施することを雇用主に義務付ける。州内の全ての従業員が対象となる。
20日付ニューヨークタイムズによると、州ではこれまで職場でのセクハラ問題が浮上しても、規制強化法案が提出されることはなかった。同紙は法案の可決について、州議会で民主党が多数派となったこと、「#MeToo」運動により立ち上がった、州議員や弁護士、著名人の女性らの1年以上にわたるロビー活動の成果と評した。