奴隷300人の埋葬地が売りに 黒人コミュニティー発祥の地

 300人もの黒人奴隷が眠る埋葬地であったクイーンズ区エルムハーストの土地が、1380万ドル(約15億円)で売りに出されている。およそ200年前、ニューヨーク市で最初の黒人コミュニティーができた場所だ。ニューヨークタイムズが14日、報じた。
 売りに出されているのは、同区90丁目47-11番地にある約4万6000平方フィート(約4270平方メートル)の土地。1827年にニューヨーク州で奴隷制度が廃止されるまで、黒人奴隷の埋葬地として使われていた。奴隷制度の廃止後、同地周辺には黒人コミュニティーが形成され、1830年代には教会や学校が建設された。
 現在は空き地となっており、この土地を所有する90クイーンズ社は当初、5階建てのコンドミニアムを建設する計画だった。開発に当たっては、同地を同社の前に所有していたセント・マークス・アフリカン・メソジスト監督教会と話し合うことが考古学規定により定められている。しかし同教会は埋葬された人骨と関係があり、同社による開発を認めなかった。長年にわたる交渉は決裂し、同社は同地を売りに出すことを決断したという。
 2011年に同社が掘削作業を行った際には、同地から人骨が見つかっていた。 教会の交渉担当、キンバリー・デセレイジ牧師は同紙の取材に「この場所は市の黒人の歴史にとって重要な場所。保存するべき」と主張した。

ニューヨークの黒人奴隷1万5000人以上が埋葬されたマンハッタン区のアフリカ人墓地ナショナルモニュメント(photo: 本紙)