高校の化学実験で生徒が大やけど NY市に63億円支払い命令

 マンハッタン区ミッドタウンのニューヨーク市立ビーコン高校で約5年前、化学の授業で実験中に爆発が起き大やけどを負ったのは、教師が安全管理を怠ったからだとして、元生徒のアロンゾ・ヤーネスさん(21)が市などに慰謝料と手術費用の支払いを求めた訴訟で、同区ニューヨーク州高位裁判所の陪審は1日、市側に5800万ドル(約63億円)の支払いを命じる評決を下した。各メディアが同日、報じた。
 報道によると、ヤーネスさんが高校2年だった2014年1月、化学の教師だったアンナ・プールさんの指導の下、塩にメタノールをかけて色の変化を見る実験「レインボー」が行われた。プールさんが塩にメタノールをかけた瞬間、爆発し火災が発生。他の生徒はすぐに机の下に隠れたが、ヤーネスさんを含む生徒2人が炎に包まれた。
 ヤーネスさんは顔や腕、胴体など体の約30%で、皮下組織まで障害が及ぶやけど(Ⅲ度熱傷)を負い、汗腺がまひし、汗がかけなくなった。2カ月入院し皮膚移植手術を受けるなど、合計5カ月入院したという。
 1日付ニューヨークポストによると、裁判でヤーネスさんは「痛みは耐え難く、絶望的だった」と振り返った。
 全米では過去15年の間、同様の事故が少なくとも2件発生。連邦当局は事故の数週間前、実験の危険性について同校に警告していた。事故は、学校での化学実験の安全管理を市に再認識させるきっかけとなった。