ニューヨーク市のタクシー業界で運転手の多くが借金苦にある背景には、営業許可証(メダリオン)購入に当たり契約内容を理解せずに法外なローンを組まされたためとの報道を受け、調査に当たっていた市は8日、契約書が「分かりにくい」とする報告書を発表した。今後、悪質なメダリオンの仲介業者(ブローカー)を取り締まり、運転手を保護する新規制を発表する。
市タクシー・リムジン委員会(TLC)などは45日間にわたり、認可を受けたメダリオンのブローカーを調査。報告書によると、タクシー運転手の90%がブローカーを通してメダリオンを購入していた。ブローカーは購入者に対し、ローンの内容と契約条項について説明することを義務付けられているにも関わらず、契約書の「多くが分かりにくい」ものだった。運転手の95%が移民であるのに、書類の多くは英語のみ。契約書の作成を怠ったブローカーもみられたという。
これを受け市は、ブローカーが購入者の利益のために行動することを明確化すること、ローンの説明書を各言語で作成すること、運転手の支援施設を設立することなどを提案している。
ニューヨークタイムズは5月、タクシー業界幹部らが意図的にメダリオンの価格を引き上げ、2014年の暴落を招いたと報道。950人のメダリオン所有者が破産申請を行い、数千人が経済的苦境に立たされていると伝えた。タクシー運転手の51%が月々の支払いに追われ、26%が破産申請を検討しているという。