ニューヨーク州北部、エリー郡の運転免許課の職員が8日、不法移民の運転免許証の申請を可能にする新しい州法は、連邦法に違反しているなどとして、クオモ知事などを相手取り、バッファロー市の連邦裁判所に提訴した。移民政策は連邦政府が決定するものだと主張している。ウォール・ストリート・ジャーナルが9日、報じた。
同州議会上院が先月17日に可決し、同日、クオモ知事が署名した同法案は、外国発行のパスポートなどで身分を証明すれば、不法移民は社会保障番号(SSN)を所持していなくても運転免許証を申請できるというもの。同時に免許証申請者の情報を裁判所の命令なしに移民税関捜査局(ICE)に提供することも禁じている。今年12月から施行される。報道によると、原告の郡職員、マイケル・ケアンズさんはSSNを所持しない者には運転免許証を発行しないと述べている。
移民支援団体など同法の支持派は、施行により不法移民が学校や職場に車を運転して行けるようになること、また、これまで無免許で運転していた不法移民が自動車教習を受け自賠責保険に加入することで、交通安全につながると主張している。一方、共和党を中心とする反対派は、「不法入国した者に対する不公平な優遇」と批判。不法移民に政府発行の身分証明書を与えることは、選挙での不正投票につながるのではと懸念している。
クオモ知事は9日、同紙の取材に「訴訟などは想定内」と回答。今回の提訴は「政治的なもの」と一蹴した。