マンハッタン区アッパーイーストサイドにある、東欧の街並みの残る地域、ヨークビル。しかし地下鉄2番街線の開通以来開発が加速し、高層ビルが競うように建ち始めた。古くからの風景が変わる光景を「ニューヨークが沈んでいくよう」と残念がる人も。町の移り変わりをニューヨークタイムズが29日、レポートした。
ヨークビルは東72丁目周辺から96丁目、3番街またはレキシントン街からイースト川までの地域。19世紀、ドイツやハンガリーなど中欧・東欧からの移民が住みつき、老舗ベーカリーや家族経営の商店が軒を連ねていた。ここ数十年は、労働者階級がエレベーターのない低層アパートビルに住み、コインランドリーや靴の修理店を利用した。
そうした街並みは、2017年の2番街線開通を機に変わり出した。同紙によると、最新の設備を備えた高級コンドがここ5年で10棟以上完工または建設中。中には60階建てのビルも。古くからの住民は「町の香りが消える」と懸念する。
そんな中、同紙は昔ながらの街並みを守ろうとする動きもあると伝える。1937年創業のドイツソーセージの店、シャラー&ウェーバーの店主、ジェレミー・シャラーさん(40)は不動産開発業者による売却の勧誘を断ってきた。毎週のようにビルを売ることを勧められ、市場価格の4倍近く、2400万ドルを提示してきた会社もある。それでも「ここはヨークビルの象徴。壊すわけにはいかない」。今後も拒む考えだという。