ニューヨーク州のトーマス・ディナポリ会計監査官は29日、インフラ整備などを目的にした同州都市交通局(MTA)の投資計画の予算が超過し、工事が遅れているのは、MTAの手続き上の不手際や業務のずさんな進め方、請負業者の怠慢によるものとする調査報告書を発表した。MTAが抱える数々の問題点が改めて浮き彫りとなった。
同会計監査局が、2015年から19年までの5年間のMTA投資計画のうち遅延している6つのプロジェクトを対象に実施した調査によると、ブロンクス区の地下鉄5番線の信号関連の工事で、賃金を受け取っていた請負労働者の出勤率が52%で、2050万ドル(約22億3000万円)の予算超過となっていた。また、ニューヨーク市交通局の設計班が、プラットホームの先端を車椅子利用者のために高く設定することを失念、工事が始まってから発覚し、やり直しとなり、61万7000ドル(約6700万円)の追加費用がかかっていた。これらのミスの積み重ねにより、6つのプロジェクトで、当初の見積もりより、総額で4320万ドル(約47億円)の超過が発生していた。6つのうち5つのプロジェクトは、手続き上の問題から工事が始まる前から遅延していたという。
一方、MTAは声明で、同会計監査官は、2000件以上あるプロジェクトのうち、「都合の良い」6件のデータだけを選び出しており、報告書はプロジェクトの全体を反映していないと批判している。