有色人種がニューヨーク市の人口の3分の2を占めているにもかかわらず、美術館やコンサートホールなど市内の文化施設の運営に携わるスタッフの3分の2は白人であることが29日、サザンメソジスト大学が実施した調査で明らかになった。文化施設での人種多様化の遅れが鮮明になった形だ。ニューヨークタイムズが29日、報じた。
調査は2018年の8月から10月にかけて、メトロポリタン美術館など、市の所有地に建つ33カ所と市から補助金を得る32カ所の文化施設で働く職員を対象に実施。職員の内訳を人種別に見ると、ヒスパニック系が11%、黒人が10%で、各人口比率の29%、22%より少なかった。女性は65%、身体障害者は8%、LGBTQは15%で、それぞれの人口比率よりも多かった。
多様化の遅れは近年問題になっており、市も是正を要請。一部の文化施設も応じ始めた。同紙によると、マンハッタン区のパブリックシアターは常勤職員の白人比率を現在の57%から23年までに50%以下に減らす。ブルックリン区の子ども博物館は向こう6年間で幹部職員の半数以上を有色人種にしていく方針だ。
改善している文化施設もある。マンハッタン区のアメリカ自然史博物館は、14年には12%だった理事の有色人種比率を少なくとも20%に引き上げる目標を立てた。現在の同比率は21%で、目標値を超えているという。