ニューヨーク州都市交通局(MTA)は、残業代水増し請求などの不正行為を重ねていたロングアイランド鉄道(LIRR)の職員への年金の支払い停止など、労働組合との間の契約内容の変更を求めている。ニューヨークポストが8日、報じた。
報道によるとMTAは、このほど全米調停委員会に提出した団体交渉書類の中で、犯罪的違法行為を含む「意図的で甚だしい不正行為」を犯した職員への年金支給を取り消す権限を、LIRRに与えるよう提案。MTAは、LIRRの職員を代表する組合10団体との交渉に入る前に、年金支給停止以外にも残業や休日出勤の倍額賃金の廃止、連続した勤務時間の上限設定などの譲歩を引き出すことを望んでいる。
これらの動きに対し、組合側は「一部の職員の不正行為により、組合全体が非難されることは道徳的に問題がある」と反発。一方で、不正行為が多発するのは「現行の残業規定がゆる過ぎるから」と指摘する声もある。
非営利の監視団体エンパイア・センター・フォー・パブリック・ポリシーが4月、LIRRの職員が物理的に不可能な長さの就労時間を申告し、多額の残業代や年金を不当に得ていたと公表して以来、LIRRは、マンハッタン区の連邦検事局やクイーンズ区地区検事局およびMTA監察官による捜査の対象となっていた。