エプスタイン被告死亡、民事提訴へ 被害者ら、遺産から賠償金求め

 性的目的の未成年人身取引などの罪で起訴されていた富豪のジェフリー・エプスタイン被告(66)が10日、マンハッタン区の拘置所で死亡したことにより、被告の起訴は棄却される。刑事訴訟で裁くことはできなくなったが、被害者らには民事訴訟を起こす道が残されているという。NPRが12日、報じた。
 NPRが元連邦検事でロヨラ法科大学院教授のローリー・レベンソン氏に聞いた話によると、被害者らは提訴し、被告が残した遺産から損害賠償の支払いを求めることができる。複数の被害者の代理人を務めるリサ・ブルーム弁護士は10日、同被告の遺産管理人に対し、資産のすべてを凍結し、民事訴訟を提訴する被害者たちのために保全するよう、ツイッターで呼び掛けた。
 エプスタイン被告の正確な資産価値は不明だが、ブルームバーグによるとマンハッタン区アッパーウエストサイドの7700万ドル(約81億円)の邸宅の他、米領バージン諸島に持つ別荘、ニューメキシコ州の大牧場、仏パリとフロリダ州パームビーチの自宅など5億ドル(約526億円)以上の純資産があると推定されている。
 一方で、NPRは元連邦検事のケリー・ローレンス弁護士の、被害者による民事訴訟の進行は困難との意見も紹介。被告が死亡した以上、被告による証言や弁護も不可能になるためだという。連邦検事局は、人身取引事件に関する捜査を継続する意向。