ブロンクス区沖に浮かぶ全米最大の共同墓地島、ハート島に埋葬された胎児の遺体の埋葬記録を、ニューヨーク市が公表していることが分かった。母親の情報にもアクセスでき、プライバシーの侵害との声が上がっている。ウォール・ストリート・ジャーナルが21日、報じた。
同島の埋葬者を記録する非営利団体「ハート島プロジェクト」は2009年以降、市からデータを入手し、埋葬された遺体を家族が探しやすいようにと、埋葬記録のデータベースを作成し公表している。
同紙によると、公開データの中には、1981年から2017年までに流産や死産、中絶により死亡した胎児の埋葬記録およそ3万100件が含まれる。これには胎児が死亡した病院名が含まれ、特に新しいデータには、流産や中絶などの死因を除く、胎児の母親の名前や妊娠期間などの情報も公表されている。現在は、母親の姓を入力すれば、誰でも検索が可能となっている。
プライバシー専門家は「母親の名前の公開は差別を生むことになりかねない」と懸念。同墓地には年間約1200体が埋葬されるが、その21%が胎児の遺体だという。
Update 8.23
22日付同紙によると、デブラシオ市長は同日開かれた別の会見で、データベースについて「おぞましい方針」と批判。データ公開を止めるよう指示したと明かした。