ウォール・ストリート・ジャーナルは27日、マンハッタン区の遺言検認裁判所が今月初め、12年前に死去した富豪、レオナ・ヘルムズリーさんの遺言執行者4人に対し、総額1億ドル(約106億円)の報酬を認める判決を下したと報じた。高額な報酬請求にニューヨーク州司法長官は「天文学的な数字」として異議を唱え、係争中だった。
ヘルムズリーさんは1997年に死去した不動産王の夫、ハリーさんの資産を継承。ヘルムズリーホテルのチェーンも含まれ、従業員を酷使する非情ぶりから「意地悪女王」と呼ばれた。遺産は50億ドル。2007年に亡くなった際、愛犬に遺産1200万ドル(約12億7000万円)を与えるとの遺言を残し話題となった。
同紙によるとヘルムズリーさんは亡くなる前、孫2人や弁護士ら5人を遺言執行者に指名。14年に亡くなった兄を除く4人はそれぞれ、2500万ドル(約26億4700万円)の報酬を請求。遺言執行は困難で高度な技術を要したとし「不動産価値が下がる経済状況にもかかわらず、何百万ドルも遺産を増やした」と主張していた。
一方で16年、州司法長官は「時給換算で6347ドル(約67万円)という途方もない額」と裁判所に申し立て。9割減額を提案していた。
この日の判決で、ノラ・アンダーソン判事は報酬が高額であることは認めたが、「遺産が並外れて複雑。不況下で遺言執行者は常に難問に直面した」と指摘、報酬の支払いを認めた。