ニューヨーク市ホームレスサービス局(DHS)はこのほど、シェルターで暮らすホームレスに対し月収の30%を市社会福祉局が管理する普通預金口座に貯金するよう義務付ける提案を行った。ウォール・ストリート・ジャーナルが27日、報じた。
提案では、仮住まい(シェルター)生活から脱出し、恒久住宅に入居が決まった際にのみ貯金を引き出すことを許可する。DHSの報道担当は「貯金を将来の生活設計の足掛かりにしてほしい」と話した。
DHSでは同提案に関する公聴会を9月24日に開催する予定。
ニューヨーク州は1996年、雇用または生活保護として受け取った収入の一部を家賃として支払うことを義務付けたが、ニューヨーク市は2010年、同規則を撤廃。18年から独身の成人を対象に、貯金プログラムを試験的に導入していた。今回の貯金「義務化」案ではまずこれらの単身者を対象とし、20年からは家族をもつ住民にも拡大したいとしている。
一方で、ホームレスの支援団体からは懸念の声が上がっている。コアリション・フォー・ザ・ホームレスの政策責任者、ジゼル・ローシアーさんは「シェルターの住民はすでに貯金をしている。役所の管理はさらなる負担になるだけ」と批判。
スティーブン・レビン市議会議員(民主)も、「借金を軽減し、クレジットスコアを改善させることが先決、補助金付きの低所得者向け住宅への入居を増やすことも重要」と話した。