ニューヨーク州保健局は、電子たばこの吸引に起因する重篤な肺疾患の急増に、「ビタミンEアセテート」と呼ばれる物質が関係している可能性があるとして、調査を進めている。ニューヨークタイムズが5日、報じた。クオモ知事は州民に電子たばこの使用を中止するよう呼び掛けている。
報道によると、州内で電子たばこの吸引により重篤な肺疾患を発症した34人のうち、8人が使用した13の商品から、非常に高濃度のビタミンEアセテートが検出された。ニコチンの電子たばこからは、同物質は検出されていないという。34人は全員が最低1回、大麻関連の商品も吸引していた。
ビタミンEアセテートは一般的に、健康や美容目的でサプリメントの形で販売され、直接飲む場合や肌への使用については問題ないとされる。しかし同局は、同物質を気化させて吸引した場合に健康に悪影響を及ぼす可能性があるとして、調査を進めているという。
州保健局のハワード・ザッカー局長によると、今回の調査で明らかになったビタミンEアセテートを含む全ての商品は、州の医療用大麻プログラムを介さず、非正規に購入されたものだった。
調査結果を受け、クオモ知事は9日、電子たばこの吸引によってもたらされる健康被害の全容が明らかになるまで、州民に吸引を止めるよう呼び掛けた。加えて、知事が「若者の喫煙への入り口になる」として禁止を求めてきた風味(フレーバー)付き電子たばこの販売禁止に向けて準備を進めていることを明らかにした。
米疾病予防管理センター(CDC)によると、6日までに全米で約450人が電子たばこの吸引により肺疾患を引き起こし、5人が死亡している。