ブロンクス区にあるニューヨーク州が運営する成人の身体障害者向けのグループホームの入所者が職員から虐待を受けたのは人権保護に反するとして州を訴えていた裁判で、州は9月30日、原告の入所者3人に600万ドル(約6億4632万円)を支払うことで和解した。ニューヨークタイムズが1日、報じた。
マンハッタン区の連邦地方裁判所に9月30日に提出された和解に関する書類によると、同区のグループホーム「ユニオンアベニューIRA」に入所する重度の発達障害を患う39歳から52歳の女性3人は、施設の職員から殴る蹴るなどの暴行を日常的に受け、冷水のシャワーを浴びさせられたり、顔に唾を吐かれたりするなどの虐待を受けていたという。暴行によるあざが顔や体に残っていた者もいた。入所者の1人の妹が施設に電話をかけた際、施設の職員が入所者を馬鹿にするように「ブロンクス動物園です」と答えることもあったという。
事件は、施設の職員の1人が2014年、虐待の内容についてを詳細に記した匿名の手紙を複数回にわたり同州当局と入所者の家族に宛て送ったことで発覚。「内部告発」に及んだ同職員は、報告することで報復や脅迫を受けることを恐れていたという。州の捜査により、職員13人による不法行為が立証されたが、解雇処分を受けた職員はいなかった。同州の発達障害者室は、和解条件の1つとして、民間の非営利団体に同施設の管理を委託することも同意している。