ニューヨーク市人権委員会は9月25日、移民の出生地や滞在資格に基づいた差別的な言動を禁じる新方針を発表した。侮辱や嫌がらせを目的に「不法外国人(イリーガルエイリアン)」と呼ぶことなどを広く禁止。法的拘束力を持ち、違反すると25万ドル(約2680万円)以下の罰金が科される。
発表によると市では移民の出生地や滞在資格に基づく差別は長年違法とされてきたが、新方針では違法行為を具体化し再確認することが目的。新方針では差別的な動機で「ICE(移民税関捜査局)に通報する」と脅迫することや、英語力の乏しさや発音のアクセント、外国語の使用に基づいた差別も禁じる。市内の全ての公共施設や職場、住宅の他、レストランや小売店、ジムなどの事業所でも適用される。
発表では違反となる行為として、店主が店内で外国語を話している顧客に「英語で話せ」「元いた国へ帰れ」などと言うこと、雇用主が従業員の滞在資格を理由に賃金を低くすること、家主が移民の賃借人に対し「苦情を申し立てるならICEに通報する」などと脅し、住宅の修理を怠ることなどを列挙した。
同委員会はまた、移民の賃借人に対し、家主が「ICEに通報する」と脅したとされる4件について捜査中だと明かした。うち1件については、市の裁判所が先月初め、家主に1万7000ドル(約182万円)の支払いを勧告している。