ニューヨーク州都市交通局(MTA)は先月発表した資本計画に、ニューヨーク市内の地下鉄70駅にエレベーターを設置することを明記した。総工費55億ドル(約5900億円)と見積もる大規模な改革計画だが、その背景には地下鉄駅のバリアフリー対応の遅れが長年指摘されてきたことがある。ニューヨークタイムズが7日、報じた。
同紙によると市の地下鉄472駅のうち、車いすに対応するのはおよそ4分の1。全米の主要都市交通システムの中でも最低水準だ。クイーンズ区のN線では、エレベーターのない駅が7駅続く。
5年間におよぶ同計画では、対象の各駅で地上と改札階を結ぶエレベーターと、改札階と各方面行きのホームを結ぶエレベーター少なくとも2機が必要。エレベーター設置自体にかかる費用は総工費の20%に過ぎないとされるが、設置に伴い新たな階段の設置やガス・水道管の移動なども考慮すると、さらなる費用を要するという。
MTAは先月、エレベーター設置工事を優先的に行う48駅を発表。マンハッタン区は42丁目ブライアントパーク駅、エセックスストリート駅など12駅が対象。エレベーターのない駅が3駅以上続かないことを目指し、乗り換えで使われる駅や利用者が多い駅から優先的に設置するという。