ホームレス支援体制「改革が必要」  追悼で訴え、被告には暴行歴

 (1面から続く)7日朝の追悼イベントを主催したユーライン・ニオウ州下院議員(民主)は記者団を前に「(事件は)最も脆弱な人の声を無視するシステムが生んだ弊害」とニューヨーク市のホームレス支援体制を批判。「今こそシステムの改革が必要」と訴えた。
 起訴されたのはホームレスのランディー・サントス被告(24)。罪を認める供述をしているという。7日付ニューヨークタイムズによると、被告はブルックリン区のホームレスシェルターやブロンクス区の母親の自宅、その隣の廃墟を転々と生活していた。被告は奇行が目立ち、今年5月にはシェルターの入所者に殴りかかり逮捕された。1年前にも職業紹介所の職員に突然かみついたとして起訴されている。
 死亡した4人のうち3人はチュエン・クォクさん(83)、ナザリオ・バスケス・ビレガスさん(55)、アンソニー・マンソンさん(49)と7日までに確認された。
 同紙によると、犠牲者の1人チュエン・クォクさんは香港からの移民。周辺住民から「クォクおじさん」と慕われていた。現場近くにはクォクさんの写真が貼られ、「礼儀正しく謙虚な紳士」とのメッセージが添えられた。7日、焼香に訪れたキム・ムイさんは同紙に「穏やかで優しい、静かなおじいさんだった」としのんだ。
 市のホームレス人口はここ数年で急増。報道によると2014年にシェルターで暮らしていたホームレスは約4万8000人だったが、現在は5万9000人以上に上る。今年1月に行われた統計によると、この他に3588人が市内の路上で生活しているという。