警察官、消防士などと生活を共にして、その実像に迫った路上写真家、ジル・フリードマンさんがマンハッタン区の養護施設でがんの合併症のため亡くなった。79歳。ニューヨークタイムズが9日、報じた。
ペンシルベニア州ピッツバーグ市生まれ。大学卒業後、イスラエルや英国を放浪し、1964年からニューヨーク市で暮らし始めた。66年から写真を撮り始め、68年のキング牧師暗殺を契機に同牧師がワシントンDCに設立した貧困者向けの住宅に転居、そこの住民を激写した。作品はライフ誌に掲載され写真集にもなった。
ハーレムやサウスブロンクスの消防署に寝泊まりして消防士の姿をフィルムに収めた。火事現場から無事帰還した消防士同士がキスをする作品は有名だ。88年に乳がんが発覚、療養を兼ねて一時移り住んだフロリダ州マイアミ市では、地元ストリッパーの写真を撮った。「異端なほど美しい」を信条に7冊の作品集を出版。「昔のマンハッタンは無茶苦茶だった」と懐かしみ、当時の街を写した作品集「マッドハッタン」を出すのが夢だったという。