50年にわたりニューヨーカー誌に風刺漫画を描き続けたダナ・フレイドンさんが3日、ニューヨーク州ウッドストックの自宅で死去した。死因は肝臓がん。97歳だった。ニューヨークタイムズが15日、報じた。
1948年から2003年までの間、フレイドンさんが同誌に掲載した漫画は1400点近く。パジャマ姿で「情報公開法に基づき、私に関する文書の開示を求める」と祈る高級官僚や「正直が最善の政策だ。では2番目に良い政策は何だ?」と話し合う権力者の会議など、簡素ながらパワフルなタッチで風刺し人気を博した。「賄賂や袖の下、政界の暴露物」を好んで題材とする理由について「虐げられた人々への愛情ではなく、虐げる人々への憎悪にある」と述べていた。
毎日2時間程度漫画のアイデアを練り、1日で50点描いたこともあった。同誌でのキャリアのうち90年代、当時の編集長の方針に反対して身を引いたことがあるが、98年に復活。大漁で意気揚々として帰ってきた夫に「男に釣りを教えると、来る日も来る日も魚を食べるはめになる」と仏頂面をした妻がぼやくという作品が最後となった。
同誌で漫画編集を務めたボブ・マンコフさんはフレイドンさんについて「明快なスタイル。良質の作品を一貫して出し続けた漫画家は他にいない」と悼んだ。