19人に性暴力、取引で実刑回避 地検の特別対応? 女性ら提訴

 女性患者19人に性暴力を加えたとして罪に問われ、マンハッタン地区検事局との司法取引により実刑を免れていた元医者などに対し、女性26人がこのほど、損害賠償を求めてニューヨーク州裁判所に提訴した。女性らは同地検が特定の性犯罪者に対して寛大な対応をする傾向があると主張している。ニューヨークタイムズが22日、報じた。
 2014年、元産婦人科医のロバート・ハッデン元医師(61)が女性患者6人に性的虐待を加えたとして起訴された。後に別の女性13人も同様の被害を受けたと主張。しかし同元医師は16年、同地検と司法取引を交わし、実刑を免れた。同地検はまた、同元医師を低いレベルの性犯罪者として登録するよう裁判所に求め、これが認められていた。同元医師は取引前、同地検のサイ・バンス地区検事長と親交がある弁護士を雇っていた。
 被害を訴えていた女性ら26人の女性はこのほど、ハッデン元医師およびコロンビア大学、大学附属病院を相手取り、新たな訴えを起こした。特定の性犯罪者への対応について、同地検が組織的に寛大な措置を講じていないか調査することを求めている。原告は数十人の少女への性的虐待などの罪で起訴されたにもかかわらず、同地検の対応により最低レベルの性犯罪者として登録された故ジェフリー・エプスタイン元被告のケースを引用した。
 バンス地区検事長は同紙に「裕福であろうが弁護士の人脈が広かろうが、特別扱いはしない」と主張している。