FuncPhysio

グランドセントラル駅から徒歩4分と至便の立地にあるフィジカルセラピー(理学療法)専門のクリニック、ファンクフィジオ。同クリニックではけがや手術後の機能回復をはじめ、腰痛や四十肩などの治療以外にもさまざまな専門的治療を行なっている。スポーツ選手やダンサー、歌手などのプロフェショナルの治療を得意とする山並絵美先生に聞いた。

Q.スポーツ選手やダンサーなどはどんな」理由で来院するのですか?

A スポーツ選手やダンサーは、体のある部分に痛みがある、動きに制限がある、またパフォーマンスをもっと向上させたいなどの理由です。歌手や俳優は声を出すときに体に痛みがある、あるいは声をもっと響かせたいとの理由で来院するケースが多いですね。

Q.どのように治療するのですか? また、職業によってアプローチは違いますか?

A 基本的には同じです。体のアライメント(軸)と姿勢をチェックし、「ニュートラルポジション(正しい姿勢)」にあるかどうかを確認します。立っているときや座っているときに背骨や関節にズレがないかを検査し、次に動きを取り入れて、体を動かしているときに関節や筋肉がきちんと使われているかを、筋膜や神経の伸び縮みも見ながら体全体の動きを評価します。治療では硬い部分を動かして、効率が悪い部分を効率よく動かすようにします。関節や関節周りの組織や筋肉、筋膜や内臓の緊張を和らげてあげて、新しい可動域で筋肉をしっかり使えるように指導していきます。
例えば、サッカーだから足を鍛えればいいというわけではないんです。ボールを蹴ろうと足を振りかざすときに、胸郭や首、さらには全身がどれだけしっかり繋がっているかが重要なんです。治療ではこれらをチェックし、効率よく体を自由自在に動かせるように指導します。けがの予防にも効果的ですよ。
 歌手や俳優の場合は頭蓋骨や顎関節の動き、横隔膜がしっかり使われているか、胸椎や肋骨がちゃんと動いているかを見ます。
 皆さんに共通することですが、立ったときに足がちゃんと地面についていて、地面からの力を吸収できるかということがとても大切です。それによって全身を支える足首の可動域が変わってきます。

Q.具体的にはどうするのですか?

A PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)という治療法です。フィジカルセラピストが手からのインプットを患者の体に加えて、患者の体にこういう動きをしてほしいとセラピストが考える動きを体で感じてもらいます。そしてその動作を実際にやってもらい、正しい体の動きを理解してもらったうえで、その動きをキープできる反復訓練を行います。また、悪い動きのパターンに戻らないように日常でできるエクササイズ方法も指導します。

体幹のトレーニングをする様子

Q.エクササイズはどのくらいの頻度と時間をかけてやるのですか?

A それぞれ目標を決めてやりますが、個人差があります。早い場合は、1セッション(1時間)で習得する人もいます。長い時間、正しい体の使い方をしていなかった、言い換えれば慢性的に痛みがあった人は時間がかかりますね。

Q.スポーツ選手などの治療、どんなところにやり甲斐を感じますか?

A 私自身も学生のころはバレーボールの選手だったことから、パフォーマンスを上げたいと頑張る人と仕事をするのは楽しいですね。特にスポーツ選手は体の感覚に敏感で反応が早いので、やりがいを感じます。首の治療をしているときに、「右の骨盤が緩くなった」などと言われると、(確かに全身が繋がっているので)面白いなあと感心します。

Q.山並先生が今、興味を持って取り組んでいる治療はありますか?

A 尾骨の治療です。尾骨は背骨の一番下にある骨です。尾骨には内臓を支える役割を果たす骨盤底筋群やお尻の筋肉がついている他、骨盤を安定に保つための靭帯や全身の神経が集中するとても大切な部位です。自分では動かせませんが、そこを治療することで背骨の動きも変わります。
 例えば、股関節や骨盤の動きが悪く腰痛に悩んでいる場合は、尾骨を治療することから始めます。これまでの経験上、来院した人のうちほぼ全員の尾骨がずれています。

Q.なぜ尾骨がずれるのですか?

A 悪い姿勢のまま長時間座っていたり、尻もちをついて尾骨を強打したりするとずれます。また、日常生活のくせから、筋肉の強さや硬さのアンバランスが原因でずれることもあります。尾骨がずれると、仙骨、骨盤、背骨などにゆがみが出るため、腰痛や首の痛みの原因の1つとなります。
 また、女性の場合は、出産時に大きくずれてしまうことがあります。尾骨がずれることにより尾骨に付いているさまざまな組織が効率よく働かなくなり、産前産後の骨盤痛や尿漏れ、骨盤底筋群の機能低下の原因となります。

Q.どのような治療をするのですか?

A 尾骨のずれ方や原因はさまざまで、患者によって治療法も異なります。また、尾骨だけではなく、仙骨や骨盤、脊椎のアライメントやその周りの筋肉や靭帯の状態をチェックする必要があります。まず痛みの原因を突き止めることが重要です。

山並絵美
PT, DPT, CFMT
ミシガン州立大学で運動学を専攻。ロングアイランド大学で理学療法学博士号を取得。インスティテュート・オブ・フィジカル・アート(IPA)の認定資格Functional Manual Therapy(CFMT)取得。2020年の東京オリンピックではバスケットボール競技のメディカルプロバイダーを務める予定。

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