逮捕の際のもみあいをけんかと勘違いし仲裁に入った男性を、ニューヨーク市警察(NYPD)の私服刑事が射殺した2011年の事件で、市は24日、男性の遺族に550万ドル(約6億円)を支払うことで和解した。先月29日にはパトロール中の警官が同僚の警官が発砲した銃弾に倒れるなど、覆面捜査時の危険性が改めて浮き彫りになっている。ニューヨークタイムズが25日、報じた。
NYPD麻薬捜査課の刑事だったジェームス・コノリー巡査部長(35)は11年9月、マンハッタン区インウッドのポスト街のビル内で巡回中に大麻の売買を発見、売人を逮捕しようとしてビルの外の路上で格闘となった。売人の隣人で、偶然通りがかったジョン・コラドさんは、2人の男がけんかをしていると勘違いし、止めに入った。コノリー刑事は無言でコラドさんの腹部を拳銃で撃ち、コラドさんは翌日、病院で亡くなった。コラドさんは銃器を所持していなかった。コノリー刑事は当初、コラドさんに背後から首を締められたために撃ったと「正当防衛」を主張。事件後、巡査部長に昇進していた。民事訴訟の陪審員団は昨年、検視の結果や監視カメラの映像および証言から、コノリー刑事の主張を虚偽と判断していた。
海兵隊員からNYPDの刑事となったコノリー刑事は09年にも、同区ワシントンハイツで、麻薬犯罪のおとり捜査中に銃を突き付けられたとして18歳の売人を射殺。これ以外にも市は、同刑事に対する訴訟で和解するために5万ドル(約544万円)を支払っている。