現代アートの拠点こうして生まれた PS1の歴史紹介する本が出版

 ニューヨーク近代美術館(MoMA)がこのほど、同美術館の別館PS1の設立の経緯をまとめた本「MoMA PS1, A History」を出版した。ゴッサミストが28日、報じた。
 非営利の芸術団体の創立者でキュレーターのアラナ・ヘイスさん(76)は1975年ごろ、展示場所を探しているときにクイーンズ区ロングアイランドシティーにある老朽化した廃校を見つけた。同校舎は1893年に完成。素焼きレンガを使ったロマネスク様式の建物をひと目で気に入ったヘイスさんは76年、ここに「PS1現代美術センター」を設立した。市は70年代、財政的に困窮。街は荒れ、廃屋が多数あったが、ヘイスさんによると、「アーティストにとっては理想的かつ肥沃な時代だった」という。
 設立当初は上下水道や空調設備も不十分で、近くのダイナーを事務所代わりに使用。それでも6万5000平方フィート(約6040平方メートル)のスペースを活用した最初の展覧会「ルームズ」は成功を収めた。
 ヘイスさんは、81年の「ニューヨーク/ニューウェーブ」展で無名だったジャン=ミシェル・バスキアを紹介。2000年にはMoMAと合併し財政的安定を確保、08年までPS1の館長を務めた。300ページ以上の同書には、こうした歴史の他、これまでに開催した展覧会やイベントに関する未公開資料も掲載。PS1で展覧会を開いた著名アーティストのコメントも載せている。

「MoMA PS1, A History」の表紙。
MoMAデザインストアの
公式ホームページより