J・ウィルソン元州上院議員、88歳 自発的別居など離婚条件を大幅緩和

 ニューヨーク州の離婚条件を大幅に緩和することに貢献したジェローム・ウィルソン元州上院議員(民主)が1日、コネティカット州エセックスの自宅で肺炎のため亡くなった。88歳だった。ニューヨークタイムズが5日、報じた。
 ニューヨーク州内での離婚は、18世紀に成立した条例に基づき、配偶者の不貞を証明した場合に限られていた。 
 ウィルソン氏は婚姻法に関する合同委員会の委員長として、この条件を緩和する法案を作成。法案は議会を通過、1967年9月1日に発効した。これにより、非人道的待遇、遺棄(2年間)、禁固刑(5年以上)および自発的別居(少なくとも2年間)が離婚の理由として認められるようになった。 
 離婚を認めず、離婚条件の緩和に長年抵抗してきたカトリック教会への「懐柔案」として、同法案では、結婚を維持するための最後の努力として離婚調停を義務付けた。ただし、67年に調停局を訪れた約2万件の夫婦のうち、和解したのは3%未満だったという。
 同法発効前は年間4000件だった州内の離婚は、発効後1年で1万8000件に急増。疎遠になった配偶者による偽証は減り、富裕層の間で流行ったメキシコやネバダ州に2週間滞在して離婚の資格を得る風潮もなくなった。
 1931年7月16日ワシントンDC出身。マンハッタン区イーストサイド選出の州上院議員として3期務めた。66年、連邦下院議員に立候補したが落選。その後、CBSテレビでレポーターとして活躍した。