初の黒人パラシュート部隊の兵士、ニーダム・メイズさん(85)がベテランズデー(退役軍人の日)の11日、亡くなった。メイズさんは、けんかを理由に除隊処分に。名誉を挽回して最初の退役軍人の日を祝った直後に容体が急変した。ニューヨークタイムズが12日、報じた。
メイズさんは、ノースカロライナ州フォートブラッグ基地に入隊。最初の黒人パラシュート部隊の兵士として勤務。2年以上模範兵だった。ところが21歳だった1955年、バーで上官とけんかとなり、相手に発砲したとして不名誉除隊になった。この処分は不相応に厳しいもので、メイズさんの支援者たちは、メイズさんが黒人だったことが理由なのではないかと話す。
除隊後、メイズさんはニューヨーク市ブルックリン区に転居。しかし、「不名誉除隊になったことは恥」と悔やみ続け、アルコール中毒やうつ病に苦しみ、自殺を3回試みたという。大学で修士号を取るまでに回復し、貧困層救済のさまざまな福祉事業に携わった。体力の衰えを感じだした2014年、過去の汚名をそそごうと、名誉除隊の解除を陸軍に請願した。
それがようやく認められたのが今年9月。11月11日、退役軍人の日を入院先のブルックリン区の病院で初めて祝うことができた。娘のナタリー・ピルグリムさんは、「ベテランズデーに亡くなった。父には、よほどの大ごとだったのだろう」と話した。
「国立墓地で同志と共に眠りたい」と切望したメイズさん。その願いがかなう。