「警官増員よりサービス向上を」 地下鉄利用者の本音

 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、無賃乗車と暴行事件の発生率が高いバス路線や地下鉄の駅に警官500人を増員。しかし、州都市交通局(MTA)にとっては毎年約5000万ドル(約54億5000万円)の負担増となる。
 デブラシオ市長は11日夜に出演したNY1の番組の中で、「地下鉄利用者の100人中75人は増員に賛成するだろう」と自信たっぷりに語った。では実際、ニューヨーカーはどのように思っているのか。amニューヨークの記者がマンハッタン区とブルックリン区で地下鉄の利用者の本音を取材。12日、レポートした。
「地下鉄は恥ずかしいくらい古い」と肩をすくめるのはジャネリー・ファミリアさん(32)。予算を警官の増員に使うより、老朽化した信号や駅の改修に使うべきだと説く。クイーンズ区ジャマイカ在住のイボンヌ・ファーリンガさん(42)も「エレベーターはいつも故障。お年寄りが階段をつらそうに上っていくのは見るに忍びない。雨が降ると駅は水浸し」と顔をしかめる。地下鉄内の犯罪は一時に比べ、「減っているように思う」と、警官増員に疑問を投げ掛けた。アンダーソン・アルカラスさん(26)も「無駄遣い」ときっぱり。「市民が望んでいるのは、より早く、信頼性の高いサービス。そして清潔な車両」。
 警官増員を評価したのは、警備員のジョナサン・カウクツェ=エルベオさん(55)1人。ただし、エルベオさんも「増員するのなら、より安全になるという確証が必要」と釘を刺した。