薬物検査誤り、陽性反応 処罰追加、受刑者らが集団訴訟


 ニューヨーク州の刑務所で、薬物検査装置の誤作動で陽性反応が出たことにより不当な処罰を受けたとして、受刑者および元受刑者数百人が20日、検査装置の製造会社を相手取り集団訴訟を起こした。ゴッサミストが21日、報じた。

 同州の矯正・地域監視局(DOCCS)によると、同州の受刑者約2000人のサンプルを誤って「陽性」と検出。受刑者に対し、独房での監禁や刑期の延長など不当な処罰を科していたという。ダッチェス郡のフィッシュキル刑務所だけでも約300人の受刑者が被害を受けていた。
 DOCCSは、刑務所内での薬物検査を一時的に停止し、処罰を受けた受刑者らの名誉回復を行うという。

 受刑者の記録によると、誤った検査結果が出た原因は、オピオイド中毒の治療薬で、それ自体にも中毒性がある「サボキソン」が検出されるような設計になっていたからだという。反応を引き起こした原因の抗原以外で、構造が似た別の抗原に結合する交差反応によるものと見られる。試験薬には米食品医薬品局(FDA)の認可を受けた「セディア・ブプレノルフィン・アセイ」が使われていた。検査装置は、試薬サービス大手、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TFS)の子会社で、カリフォルニア州に本社を置くマイクロジェニックスが製造。
 受刑者の弁護を務めるアランナ・カウフマンさんはゴッサミストに「原因は、刑務所と試薬会社のずさんな管理」と非難した。
 
 同社および刑務所関係者は、今回の集団訴訟の全容や問題が発覚した背景についての公表を避けている。