ニュージャージー州ニューアーク市のダウンタウンにあるベアーズ・アンド・イーグルス・リバーフロント・スタジアム跡地の再開発に伴い地域が高級化し、同市の住民の大半を占める黒人や貧困層を追い出すことになりかねないとの懸念が出ている。ニューヨークタイムズが11月26日、報じた。
同球場はマイナーリーグの野球場としては最高額規模の3400万ドル(約37億円)の公費をかけ建設、1999年夏にオープンした。同市の市議会議員らは、同球場が貧困と犯罪多発に苦しむ市に「明るい未来をもたらす」と希望を抱いた。
20年経った現在、同球場を本拠地としていたチームは破産し、球場はがれきの山と化した。しかし、マンハッタン区の摩天楼が見渡せ、同区から電車で20分という立地条件の良さに目を付けた開発業者によって、数百戸のアパートや小売店、オフィス、ホテルなどを建設する再開発計画が浮上している。
コリー・ブッカー上院議員(民主)の市長時には、パナソニックなどの大企業が同市に本社を建設。過去3年間で高級アパートやスーパーなどが次々と建設され、ダウンタウン周辺の資産価値も上昇した。
同市の市議会議員や活動家は、ラス・バラカ市長に対し、手頃な価格の住宅を用意し、高級化を食い止めるよう要請。市長は同紙の取材に、開発を実現すると同時に古くからの住民に機会を与え、手頃な価格の住宅を用意すると話している。