ニューヨーク州で今年6月14日、レントコントロール(法律による家賃規制)のアパートを対象にした「2019年テナント保護法」が施行。
以降、家主が賃借人に立ち退きを求める訴訟が減少している。ウォール・ストリート・ジャーナルが11月26日、報じた。
同紙が裁判所記録を基に分析したところによると、新法施行の6月から10月までの、家賃を滞納している賃借人に対する建物立ち退き請求の訴訟の数は、2018年の同時期と比較して3万5000件以上減少していた。これは前年比46%減に当たるという。
家賃滞納者に対する訴訟は18年の同時期と比較して、7月には61%、8月には68%と激減。その後少し戻ったものの、10月は35%減だった。
複数のアパートを所有する家主の代理人を務める弁護士によると、新法では、暖房の供給停止や賃借人を有害物質にさらすなど、故意に賃借人の住環境を脅かした事実の証明だけで、家主を訴追できるようになるなど賃借人の権利が大幅に拡大されたことで、「反訴」を恐れて訴訟に及び腰になっている家主が多いという。
ニューヨーク市住宅裁判所のジーン・T・シュナイダー判事は、7、8月に訴訟が減った理由について、新法により、家主が賃借人に警告を通達してから訴訟を起こせるまでの猶予期限がそれまでの3日から14日に延長されたことで、家賃を工面するなど当事者間で問題を解決する時間ができたことも影響していると推測。
また、市が住宅裁判の被告となった低所得者層の賃借人に弁護士を提供する制度を開始したことも、訴訟減少の一因とする見方もある。