マンハッタン区に本社を置くコーヒーの製造・販売会社キツライフは、哲学者を雇うことで企業文化を変え、成果を上げている。その試みをウォール・ストリート・ジャーナルが3日、レポートした。
「社内はスポーツクラブのロッカールームのようだった」と話すのは同社社長のジム・デシッコさん。2015年の起業当時の社員はデシッコさんの友人のスポーツ愛好家。全員、白人だった。競争心が旺盛で、女性を蔑視するような冗談もたびたび聞こえてきたという。
昨年、性的嫌がらせを告発する「#MeToo(私も)運動」が流行ったとき、デシッコさんは「会社に規模が小さいうちに社風を変えよう」と決意。哲学者のリード・ブラックマンさんに助言を求めた。
大学で哲学を20年間教えていたブラックマンさんは同社を1カ月に数日、訪問し、社内で発せられた「嫌な発言」を取り上げ論理的に分析した。社員同士のコミュニケーションを向上させるワークショップも開催した。
また、「倫理は主観的なものではない」「価値観は行動に裏付けされていなければならない」をモットーに、会議を「戦略を共有する」から「同僚を支援する」場に変えた。さらに、雇用に多様性を持たせることも提案した。
その結果、女性と非白人の社員数がそれぞれ起業当時の10倍に、社員は12人から66人に増えた。売り上げも上半期だけで前年比の4倍以上を記録したという。