米農務省(USDA)は4日、連邦政府による食糧支援プログラム(SNAP)の下で、低所得者に配布するフードスタンプの受給資格を厳格化する新たな規定を最終決定した。USDAは、新規定の下で約68万8000人が支援を受けられなくなると推定している。ゴッサミストが同日、報じた。
2020年4月1日から施行予定の新規定では、子どものいない成人は3カ月間以上続けてフードスタンプを受給できなくなる。また、これまではフードスタンプの受給を開始してから90日間後には、就職することが義務付けられていたが、失業率の高い地域に住む低所得の成人は免除されていた。しかし、新規定ではこの免除制度を廃止。廃止することで、連邦政府は今後5年間に約55億ドル(約5980億円)の予算削減につながると見込んでいる。
トランプ政権は今年初め、広範囲のカテゴリーに及ぶ受給資格を廃止し、約100万人の学生を含む300万人以上の受給者削減につながる別の規定改正を提案。同規定が可決されれば、ニューヨーク州内の11万2646世帯がフードスタンプの受給資格を失うことになる。
フードスタンプ受給の平均月額は1世帯およそ178ドル(約1万9350円)。食糧支援プログラムを受けられる1人暮らし世帯の最高年収は990ドル(約9万8000円)。
フード・リサーチ・アンド・アクション・センターの代表、ジェームズ・D・ワイルさんは、「新規定は個人と社会に深刻な弊害をもたらす。トランプ政権は、国民の健康と雇用を改善するために何もしない」と批判。食料品小売業者や農業生産者にも損害を与えると警戒を強めている。