家族用のホームレスシェルターを米国で初めて開設した社会活動家のダニー・クローネンフェルドさんが6日、パーキンソン病の合併症のため亡くなっていたことが分かった。87歳だった。ニューヨークタイムズが12日、報じた。
ホームレスは「麻薬中毒の独身男性の間で多発する問題」とされていた1970年代に、「家族用の仮設住宅」を提案。72年、マンハッタン区ローワーマンハッタンにある非営利の社会福祉団体ヘンリー・ストリート・セツルメント内に米国初の家族用ホームレスシェルター「アーバン・ファミリー・センター」を開設した。自ら妻と2人の娘を連れて移り住み、育児を含む福祉サービスを提供。就職や住宅の斡旋にも取り組んだ。85年、同セツルメントの責任者に抜擢されると、予算を700万ドルから3000万ドルに増額させて、高齢者や家庭内暴力の被害者、HIV感染者とその家族へと支援を拡大させた。
1932年、マンハッタン区サウスブロンクス生まれ。生活保護を受けて育った。コロンビア大学で社会学修士号を取得。「貧困で人格や行く末が決定付けられるべきではない」が信条だった。89年、英国のダイアナ妃(当時)がアーバン・ファミリー・センターを視察。93年には、ビル・クリントン大統領(当時)がクローネンフェルドさんを米国の「希望の顔」53人のうちの1人に選び、社会貢献をたたえた。