年収が一定額を超えるまで返済義務が生じない、新たな形の学生ローン「インカム・シェア・アグリーメント・プログラム(ISA)」を導入する大学が増えている。ウォール・ストリート・ジャーナルが12月31日、報じた。
ISAでは、卒業生が年収2万ドルから3万ドル(約216万円から324万円)以上の職に就いた後、5年から10年の間に給与の2%から10%を毎月返済していく。返済総額の上限は通常、借入額の1.1%から1.2%。現在、ISAを規制する連邦法はないため、高収入職への就職が望める大学では、年収4万ドルから5万ドルの職に就いた後、3年から5年間に、給与の10%から15%を返済する。返済総額の上限は借入額の1.5倍から2倍とするローン契約も可能だ。
金利7.5%、返済期間10年で一般の学生ローンから1万ドル(約108万円)を借りた場合、返済月額は117ドルで返済総額は1万4090ドルとなるが、ISAから同額を借りた場合、一定額以上の年収の職に就くことがなければ返済義務は生じず、年収10万ドルの職に就いた場合、返済額総額が2万ドルになるなど、ケースに応じて調整できる。
ISAは、従来の学生ローンと異なり大学側が金銭的リスクを負うため、優秀な人材育成と高収入職への就職支援への動機付けになる。1955年に経済学者のミルトン・フリードマンが提唱したISAの概念は、学生ローン危機が深刻化した最近になってからようやく受け入れられ、全米で、60校以上が導入を開始している。