マンハッタン区の聖ヨハネ大聖堂で25年間にわたりユニークな指導を展開したジェームズ・パークス・モートン元司祭が4日、ニューヨーク市内の自宅で亡くなった。89歳だった。アルツハイマー病を患っていたという。ニューヨークタイムズが8日、報じた。
モートンさんは1972年、首席司祭に就任。当時、市は財政破綻状態にあり、さまざまな社会問題に直面していた。モートンさんは大聖堂の敷地内にホームレス用シェルターを開設。ハーレムにある廃ビルを住宅用に改築する運動も始めた。79年には失業者に石工技術を習得させ、聖堂建設に雇用。聖フランシスコの祝日に動物礼拝も始めた。礼拝にはペットの犬や猫、鳥などの他、サーカス団が飼育するゾウや、約4メートルのイチョウの木が持ち込まれたこともある。さらに、ダライ・ラマ14世など他宗教の指導者を招き、早くから女性や同性愛者が説教壇に立つことを認めた。ミサに賛美歌以外の音楽やダンスも取り入れた。
ハーバード大学で建築学を学んでいたが、娘のポーリーさんによると、「聖マルティヌスが貧者にマントを与えたという話に感銘を受け、聖職者の道に進んだ」という。96年に首席司祭を引退。非営利団体「インターフェイス・センター・オブ・ニューヨーク」を設立し、多様な宗教の相互理解に努めた。