飲まないバーテンダーが増加 業界関係者のいじめ乗り越え

 アルコール飲料の消費を自制する動きが、全米各地に広がっている。飲料業界でもノンアルコール飲料の人気が上昇。市場調査会社ニールセンによると、同飲料の小売り売上高は昨年だけで32億ドル増加し、872億ドル(約9兆6000億円)を記録。酒断ちの傾向はバーテンダーにも波及している。5年前から英国で始まった「お酒を飲まない1月」運動にちなんで、ニューヨークタイムズが13日、報じた。
 マンハッタン区チャイナタウンにある169バーのバーテンダー、ジェード・ゴールデンさんは、断酒してから8年。ゴールデンさんは禁酒のための相互援助団体アルコホーリクスアノニマス(AA)のメンバーだった。AAからは転職を強く勧められたが、踏ん張っている。
 アルコール中毒者が家系に多かったため断酒。すると、「業界関係者からいじめられた」と話すのはカクテルコンサルタントのジョアナ・カーペンターさん。グリニッチビレッジのアップ&アップのバーテンダー、アドレネ・オーケスさんによると、飲まないことを尊重してくれる客もいるが、「味見しないシェフのようだ」と皮肉られることも。
 金融街にあるデッドラビットの共同オーナー、ジャック・マックガリーさんも中毒傾向に気付いて3年半前に断酒。記録代わりに禁酒の日々を自身のインスタグラムに投稿したところ、酒類メーカーのブランド大使から「われわれが飲まなくなったら、業界は成り立たない」と批判のコメントが寄せられたという。