「強制退去免除は致命的選択」 暴行殺害の容疑者、ICEが市の政策非難

 ニューヨーク市警察(NYPD)は9日、クイーンズ区サウス・リッチモンド・ヒルで6日、マリア・フェルテスさん(92)に性的暴行を加え殺害した容疑で、ガイアナ出身の不法移民、リーアズ・カーン容疑者(21)を逮捕、起訴した。米移民税関捜査局(ICE)は14日、同被告は過去に罪を犯していたが、ニューヨーク市がサンクチュアリシティ(聖域都市)だったため国外追放を免れていたとして、市の政策を非難した。ニューヨークタイムズが同日、報じた。
 報道によると同被告は、昨年11月27日、父親を繰り返し殴打したとしてNYPDに暴行と武器所持の容疑で逮捕・起訴されたのち釈放。ICEは当時、釈放後の同被告の身柄の引き渡しをNYPDに要請していたと主張した。ICEは、起訴または有罪判決を受けた不法移民が釈放される際、その身柄をICEに引き渡すに当たりさらに48時間拘留することを警察に求めることができる。ICEは 14日、11月27日付でNYPDに送ったというファクス送信フォームの写しも公開した。一方、NYPDは、ICEからの同被告に対する身柄引き渡し要請は受けていないと反論している。
 市は条例で、暴力的かつ重大な犯罪で有罪判決を受けた不法移民に限り、ICEが法的および適正なプロセス要件を満たしたのちに、不法移民を拘留し、ICEに引き渡すと定めている。
 ICEは声明で、「ニューヨーク市の聖域政策は、住民の安全を脅かし続けている。
 カーン被告を昨年11月に釈放したのは致命的な選択だった」と非難した。カーン容疑者はフェルテスさんに暴行したことは認めたが、殺害は否定している。