「コミュニティーは現状維持で」 ゾーニング変更に住民が反対運動 

 ニューヨーク市のデブラシオ市長は2014年、土地利用目的の面的条件付け(ゾーニング)を変更して低所得者向けのアパートを増設すると発表。計画の骨子は約12のコミュニティーの再ゾーニングだった。しかし、地域住民の反対で計画が遅れている。ウォール・ストリート・ジャーナルが28日、報じた。
 ブルックリン区ブッシュウィックに生まれ育ったロバート・カマチョさん(58)らはデブラシオ市長と協力して進めたゾーニングが手頃な価格のアパート開発につながり、商店街に市場価格のコンドミニアムが建設されるのが規制されるよう望んでいた。しかし市は今月初め、建設可能な市場価格のコンドミニアムの件数についてコミュニティーと合意に達しなかったとして、計画を無期限保留とした。
 カマチョさんは「(市は)古くからの住民が住む家を壊し、高層ビルを建てたいのだ」と不信感を募らせる。
 マンハッタン区ソーホーでは、アパートビルの新築は不動産価値下落につながるとして地域住民が反対。同区インウッドでも家賃が上がることを懸念した住民が訴訟を起こし、30階建て高層アパートの建設計画が頓挫した。ブロンクス区サザンブルバードのゾーニング変更には、黒人やラテン系住民が住居を失うとして地元選出の市議会議員が反対の意向を表明している。
 市計画委員会元委員長カール・ウェイスブロッドさんは、昨今のムードは「反再開発」と指摘。「コミュニティーは現状維持の考えが根強い」と話した。