「数学のノーベル賞」と呼ばれるエーベル賞に輝いた数学者でニューヨーク大学教授のルイス・ニーレンバーグさんがマンハッタン区のコロンビア大学病院で亡くなった。94歳だった。ニューヨークタイムズが1月31日、報じた。
1925年2月28日、カナダ・オンタリオ州ハミルトン市でウクライナからの移民の両親の下に出生。モントリオール市のマギル大学で数学と物理学の修士号を取得。ニューヨーク大学にクーラント数科学研究所を創設したリチャード・クーラント教授の勧めで同大学に移った。博士号論文に選んだのは、ドイツの数学者ヘルマン・ワイスが提起した幾何学の未解決の問題。それを解決して47年に博士号を取得すると、大学に残り教壇に立った。専門は偏微分方程式。弦や太鼓の鼓面の振動、熱の伝導、水の動きなどを説明するのに使われた。70年から72年には同研究所のディレクターを務めた。後進の指導にも熱心で人柄の良さから、「優しすぎて、推薦状が意味をなさない」と言われたという。
1994年、全米数学協会からスティール賞の特別功労賞、95年には米国家科学賞を受賞。さらに2010年には国際数学協会が4年に1度卓越した数学者に贈るチャーン賞を受賞。15年にはエーベル賞にも輝いた。ブラウン大学のウォルター・ストラウス名誉教授は「20世紀の偉大な数学者の1人」とたたえた。